2016年2月「HO」vol.101

着物の襟に付いたファンデーションはブラシで軽くたたいてあっという間に別の布に移し取る。
その間わずか3分。
簡単そうにこなしているが、
「36年分の経験プラス3分ですよ」と笑う社長の野口聡さん。
しみや生地によって使い分けるブラシは馬毛、豚毛、竹などテグスで巻いたオリジナル。
30年使い込んで毛先が短くなっても「スポットで使うのに欠かせない」と話す。
色が目立つしみは特殊な薬品で地色ごと抜いてから染色補正する。
地の桃色が白くなったところに、極細筆を使って染料を丁寧にのせていく。
しみがあったとは思えない仕上がりにはただただ驚くばかり。
取り切れない場合は着物の柄の一部を描いて隠す方法も。
一口にしみ抜きといっても、幅が広く奥が深い。
「着物には持ち主の思いでが詰まっている修復して喜んでもらえると、大変でもあるが面白い仕事だなと実感します」
これがないと仕事になりません

雑誌
野口染舗|創業一九四八年[美しさ、いつまでも]札幌市菊水の染舗です。
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